■■Report #62 Report index



涙の惜別から約1年、ついにこの日が来てしまった。
―――それは、最後の九州ブルトレ「富士はやぶさ号」のラストラン…。



平成20年3月15日、「なはあかつき号」が姿を消し、九州へ向かうブルートレインは「富士はやぶさ号」のみとなった。
そのとき、誰もが直感したのだ、これもいずれなくなると。

そして昨年、3月14日のダイヤ改正とともに、最後の九州ブルトレ「富士」「はやぶさ」が廃止されることが発表された。
わかってはいたが、やはり改めてメディアを通して発表をきくと衝撃だった。

そしてその日から、へなちょこ隊の駅通いが始まった。

へなちょこ隊の住む福山を通過するのは、
 上り(00:05発)
 下り(04:00過ぎ頃)
なのだが、時間的に下りは無理があるので、上りを見に行くことに。

ある時は駅のホームで、またあるときは線路沿いで、青い車体が走りすぎていくのを眺めた。

▼081114
へなちょこ1号 糸崎駅にて
080614
尾道駅にて
▲090312
福山駅 ヘッドマークかっこいいv
▼080307
尾道駅

そして特記すべきは、PF代走を見たこと!!!
何とEF66ではなく、EF65が引っ張っているのだ!
2008年12月14日の出来事である。


これはすっっっごく珍しいことで、下りで代走したPFが、そのまま上りも走るなんて(しかも冠つき!)、マニア垂涎ものな状況なのである。
げへへ(´ρ`)

なくなってから「乗っておけばよかった」と思うのはごめんだ!と思い、昨年の5月に強行した東京→九州の旅。

Report#51参照
「もう一度乗りたい」
さすがにこの願いは叶わなかったが、「乗っておけばよかった」とは思わずにすんだ。
「何だか懐かしいねぇ」
車窓から見える中の座席に、昨年5月に乗ったことを思い出す。
あれは良かった、本当に。
そんなブルートレインが今日で見納めだなんて。
080514_東京−門司間を旅した


今日の列車に乗っている640人(東京発、九州発あわせて)は、本当に強運の持ち主だ。
なんたって、最終列車の切符は、1ヶ月前の午前10時に全国で一斉に販売を開始して、10秒で完売したというのだから。
インターネットのオークションでは、9450円のB寝台(乗車券除く)が11万円で落札されていたり、最後にその姿を目に焼き付けておこうと、連日多くのファンが詰掛けていたり、混乱振りが伺える。
ニュースでは繰り返し石破農相の映像が流され、彼もブルトレの廃止を惜しむ一鉄道ファンであることが報じられていた。

実は昨日(12日)、明日はもしかしたら入場規制があるかも!とか、悪天候で運行休みになるかも!とか、最悪の事態になることを考えて、(翌日も仕事だというのに)福山駅に見に行ったのだ。
子連れでこんな時間にどうよ、とも思ったが、もう一生見れないんだもん!
入場券を購入し、ホームに行くと、そこには先客が。
まだ福山着までに30分近くある。
ホームエンドまで行くと、いつもは消えていた照明が、今日はついていた。
何ですか、鉄道ファンのためのサービスですか?とか思うワタシはかなり腐って来ているなと感じつつ、到着を待つ。
実はこの日の2日前にも、タイチョー一人で駅撮りしてきたのだが、いつもと停車位置が違ったのだという。

タイチョーの指示す写真を覗き込むと、確かに足元の表示と、ドアの位置が違う気がする。
普段なら、先頭の「カマ」=機関車はホームより先に出ていて、見えないはずなのだ。
それが先日は手前に停車していて、近くで見ることが出来たというのだ。
そんな…じゃあやっぱり、サービス?!
サービスなの?!
ホームの端っこで待っていると、次々と人が増え始め、気付くと2、30人くらいになっていた。
駅員さんもやってきて警備にあたっていた。
端っこに立っていた我々の後ろの方をしきりに気にしている。
どうやら昨日、後ろの柵を越えて侵入した奴がいるらしいのだ。
そういうマナー悪い奴がいるから、派手に報道されるんだ。。。
近くにやってきたので挨拶すると、駅員さんが、少し遅れています、と教えてくれた。
そしてにこやかに話す。
「最近、サービスでしょうかね、ちょっと手前で止まるんですよ」

や っ ぱ り ?!


そうか、そうよ、鉄道の仕事に携わっている人だって、きっと鉄道好きなのよ。
だから鉄道ファンの気持ちが誰よりわかるはずなのよ〜〜〜!!!
と、勝手に親近感を覚えつつ、喜んでいたら、音楽が鳴った。
♪ピロリピロピロ〜
「まもなく、5番ホームに列車が参ります、黄色い線まで…」
場内アナウンスが流れ、皆落ちつかない様子で、向こうを眺めている。
そして暗闇の向こうから、「富士」「はやぶさ」号が到着。

ファンサービスを期待し少し手前に停車することを予測して陣取っていたので、EF66は目の前に停車した。
一斉に駆け寄ってきた鉄道ファンに囲まれつつも、特等席で見れて満足♪
やはり間近で見ると迫力がある。
今日は53号機。
明日は、コレが最後の「富士」「はやぶさ」号として東京駅を出るはずだ。

2、3分の停車時間だっただろうか、ドアが閉まり、ゆっくりと滑るように走り出す。
先ほど話していた駅員さんは、運転手、車掌と挨拶を交わし、定刻から5、6分遅れで、福山駅を後にした。
「ロクロク、でかかったな〜」
とカズ隊員。
3歳児がロクロク
とか言うな…。

そして今日、3月13日。
ニュースでは、定刻発で東京駅を後にしたと3000人のファンが詰め掛ける東京駅の様子が流れていた。
3000人て…。
九州を出た上りの列車は1時間以上遅れているとの情報を某巨大掲示板で得る。
尾道駅で「お見送り」をしようとしていた我々は、急遽予定を変更。
(タイチョーは明日も仕事です)
雨も激しく降っているので、尾道駅より福山駅の方が良いだろうという英断だ。
「富士」「はやぶさ」のラストランを惜しむ涙雨か。
いやでもこの雨…涙雨、というよりもう号泣なんですけど。。。
0時40分頃、福山駅へ。
もはや子供が起きている時間どころか、大人ですらビミョーな時間だが、これに備えて一旦寝ているので大・丈・夫☆
…と思ったら、結構子供がうじゃうじゃいて、目立たなくて安心した。
駐車場では、鉄とは程遠いと思っていたS木(勝手)隊員、KENT(勝手)隊員にばったり会うわ、ホームに続く階段を上りきったところで、タイチョーの鉄トモ「福ちゃん(
Report #49参照)」に会うわ、そしてホームでは以前尾道駅で一緒になり顔見知りの方に会うわ…。
いやもうびっくりですよ、ハイ。
ホームの電光掲示板には、『70分遅れで運転しています』との表示。
どうやら事故があったらしい。
ホームでは繰り返し列車が遅れている旨のアナウンスがあり、我々は散策しながらどこで見ようか決めかねていた。
福山駅はホームに柱がずら〜〜〜〜っとあるので、結局は先頭の方で見ることに。
それにしても何だ、この人の多さ!
やはり繰り返しニュース等で流れていたせいか、「なは」「あかつき」のラストランとは比べ物にならないくらいの人の多さだった。
プヮ―――――

1時17分。
長い警笛(汽笛)の音が響き、
「富士」「はやぶさ」号がホームに滑り込んでくる。
同時にフラッシュが光り、響くカメラのシャッター音。
走るカメラマンたち。
前日に思う存分見たので、我々は特にあわてることもなく、静かに見守る。
気付けば尾道駅の彼も、同じように、まったりと眺めている。

ピィ―――――ッ!
鋭い駅員のホイッスルが響き、ドアが閉まる。
「発車します」
福山駅では、みんなマナーもよく黄色い線の内側で待っていて、駅員の言うことをよくきいていたので、混乱が起きることもなかった。

ガタンッ


停車はほんの数分の出来事。
1時20分。
列車が静かに走り出す。

「ほら、最後だよ」
手を振るよっすぃー隊員と、カズ隊員。
車掌さんと目が合うと、にっこりと笑い、軽く手を振ってくれた。
しっかり手を振る。
車内から手を振り返す乗客。
見知らぬ者同士が、心通わせる(笑)瞬間だ.。

ガタン、ガタン、

次第に速くなっていく。

ガタン、ガタン、ガタン、タン、…



青い車体が目の前を通り過ぎていく。
車窓で手を振る人の姿が、速すぎて見えなくなるころ、プツっと青い車体が目の前から途切れる。
そして赤い、テールランプ。
車掌が窓から上身を乗り出して、確認している。
赤いテールランプが、闇の中に消えていく。


「行っちゃったか…」


最後を見送った安堵と離愁。
大きなため息が出る。

動き出す、人の群れ。
散り散りにホームを後にする。
「終わったな」
もう夜の駅通いをすることもないだろう。
夜中に列車が走っていたことなど、忘れられてしまうのだろうか。
すでにブルトレって何?、という世代が育ちつつあるが、この子達は忘れないだろう。
夜中のホームを駆け回る小さな子供たち。
頑張って起きてたのかな。昼寝してきたのかな。
でもみんないい笑顔だった。


タイチョーが小学生のころは、未曾有のブルトレブームだったという。
ワタシは、昨年の「なは」「あかつき」廃止によりブルトレを知った。
タイチョーの再燃、それから短い1年だったが、鉄分の濃い(笑)1年だったと思う。

残るブルトレは上野駅発の「北斗星」(札幌駅間)「あけぼの」(青森駅間)「北陸」(金沢駅間)と、大阪駅と青森駅を結ぶ「日本海」。
ひとつの時代の終わりを感じ寂しくもあるが、これも時代の波、悲しんでばかりはいられない。
残りのブルトレも乗らなくては!!!という新たな目標を掲げ、我々は駅を後にした。

ちなみにこの日、福山駅には、約160、70人のファンがいたそうだ。(駅員談)



【データ】
3月13日(始発駅基準)寝台特急 はやぶさ・富士号は、14日午前11時半ごろ、人身事故や強風の影響で定刻より約1時間半遅れて、東京駅に上り最終列車が到着。
駅では約2000人のファンが『お出迎え』、「ありがとう」「お疲れさま」と歓声が飛んだ。

ちなみに下り最終列車は、
【富士号:大分駅行】大分駅、約2時間遅れで到着。
【はやぶさ号:熊本駅行】熊本駅、約1時間半遅れで到着。
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