■■Report #57 Report index


9月22日、天気曇り。
我々は、久々に探険家?らしく、山に入っていた。
ここは秘境・黒部渓谷。
黒部渓谷とは、黒部川の上流〜中流域にかけて、切り立った深いV字峡を形成する大峡谷である。
その川を左手に眺めつつ、緩やかな坂道を登っていた。
ちなみに黒部川は、水のきれいな川としても知られており、黒部の名水で作った酒、米、お菓子などがいわゆる黒部ブランドとして土産物屋に並んでいるのである。
「まだ〜?」
「もうちょっと!頑張れ〜」
はしゃぎ疲れた様子のよっすぃー隊員を励まし、前へ進む。
カズ隊員も空腹ですっかり無口になってしまっていた。
「頑張れ、あともう少し!」


時を遡ること5時間と少し。
午前10時、宇奈月駅到着。
有料駐車場(1日900円)に、へなちょこ4号を停め、我々は各自荷物をまとめた。
ここからは、へなちょこ4号を置いて、憧れのトロッコ列車に乗車するのだ。
今回はちゃんと山に入る格好だ!長袖長ズボンで完璧である。
駅の窓口でチケットを購入。
予約はしていなかったが、平日で紅葉の季節にはまだ少し早かったため、何とか乗ることが出来た。
向かうは温泉。
よっすぃー隊員達ての希望で、「外が見える岩のお風呂」=露天風呂に入りに行くのだ。
宇奈月〜黒薙〜鐘釣〜欅平の4駅をつなぐ、黒部渓谷鉄道。
目的の温泉は、この鐘釣駅の近くにある。
この駅に向かうには、トロッコ列車に乗っていく。
トロッコ列車の「トロッコ」は、荷物運搬用の貨車のことである。
元々は、電力会社の専用鉄道として、荷物の運搬や、作業員を運ぶために使用されていたそうだが、「乗〜り〜た〜い〜」という一般客に『命の保証はないわよ』的な便乗をさせていたのが、後に地方鉄道法による営業の免許を受け、現在の黒部峡谷鉄道株式会社として営業運転を開始したそうだ。
…ということは、今は命の保証されてるのよね…?ドキドキ。

改札を抜け、さっそくトロッコに乗り込む。
早い者勝ちの世界である。
よっすぃー隊員と、カズ隊員を連れた我が隊は、その弱肉強食の世界に勝てず、良い席を取れなかったが、まぁこれも仕方が無いことだ。
おば様方と肩を並べて座り、発車を待っていると、
「(黒部の)名水ホットコーヒー、黒部の名水、笹団子、ドーナツはいかがですか〜?」
と、ワゴン押したおば…おねぇさんがホームで売り歩く。
ちょっと肌寒いトロッコ列車で、温かいコーヒーはおいしそうな匂いを漂わせていた。
上手い商売やってんな〜(笑)
結局よっすぃー隊員にせがまれドーナツを購入。
駅員や、移動販売のおねぇさんに見送られ、11時06分、トロッコ列車は出発した。
トロッコは、屋根だけついた貨車で、4人乗りのベンチシートに肩を寄せ合って座る感じ。
お金を出せば、3人乗りシートや窓も付くのだが、やはりトロッコ列車と言えばコレだろう!
車体が小さいので、平均時速約16キロ(自転車くらい)とはいえ、窓もないし、結構スピードを感じる。
ちょっと、手とか頭とか出さないでよ?!
ふらふらしているカズ隊員に気が気じゃない。
トロッコ内では、車内放送が流れ、トロッコから見える各名所の説明がされていた。
「仏石」という石仏に似た形の自然の岩とか、「ねずみ返しの岩壁」といって、猫に追われたねずみがこの岸壁に阻まれ、登ることが出来なかったという切り立った岸壁など。
その近くにある「猫又駅」の名前の由来も、「猫も又」登れなかったからとか。
カズ隊員にわかりやすく説明してやりながら、トロッコの旅は続く…。


途中、素彫りのトンネルをくぐったり、鉄橋を渡ったり、下りの列車とすれ違ったり、刻一刻と変わっていく景色を楽しんでいると、目的地「鐘釣駅」に到着。
ここであるものを購入し、我々は川へと向かったのである。
ちなみにここには、万年雪が見られるスポットとして有名なのだが、どうやら洪水で流失してしまったらしい。。。
残念。(´・ω・`)ショボーン

そして話は冒頭に戻る。
川沿いをのらりくらりと歩いていた我々へなちょこ隊だったが、ついに河原に降りられる階段を発見!
「着いたよ!下りるよ!」
「やったぁ!」
嬉しそうなよっすぃー隊員。
「お腹空いた!」
見上げるカズ隊員。
「うん、河原で食べような」
一気にテンションの上がる二人をなだめ、足元に気をつけながら、ゆっくりとおりる。

河原には十数人の観光客がいて、なんと岩に腰掛けて足を川に浸しているではないか!
この寒いのに…!!!
万年雪も存在するこの川に…!!!


いや、よく見ると、その足元には湯気が?!
急いで河原に駆け寄り、その水に手を浸すと…。
「おお、温かい〜」


何と!川から温泉が…!!!
…って、知 っ て た け ど ね …。

「外が見える岩のお風呂」

外が見える…というよりむしろ外にある、ていうか完全に大自然の真ん中の岩場の温泉…天然の岩風呂ですよ!
なんて贅沢!
なんて野趣あふれる温泉!!!
「ええええええええええええ〜」(不満気に)
「いいじゃん、『外が見える岩のお風呂』じゃん」
「外じゃん!」
「外見えるじゃん!」
「・・・・・・・」
諦めたのか服を脱ぎ始めるよっすぃー隊員。
そぉーっと足から入る。
「あつっ!あちっ!あつあつあつっ!」
大騒ぎするよっすぃー隊員と、いつの間にか肩まで浸かり、すっかりリラックスした感じのカズ隊員。
いいじゃん、いいじゃん、雰囲気いいじゃん!
まぁ、真っ裸になっているのは、この二人だけだったが。
いいなぁ、ワタシも入りたい…。
しばし温泉に浸かり、ほっぺを真っ赤にした二人に、黒部の名水ペットボトルを渡し、昼食を取り出す。
昼食は先ほど鐘釣駅で購入した、「鱒寿司」。
笹の葉に包まれた、鱒の押し寿司の事だ。
富山県の郷土料理で、その昔は神通川を遡上して来るサクラマスで作られたという。
今回購入したのは、一口鱒寿司。
でもちゃんと笹で包んであって、マスのサーモンピンクがキレイに映える。

川のせせらぎを聞きながら、足を温泉に浸し、鱒寿司を頬張る。
甘酸っぱい酢飯に、程よく脂が乗った鱒に、笹の香りがさわやかだ。
う〜ん、おいしい。

最高だ…。

しばし幸福な時間を過ごした我々は、次の列車の時間が近づいていることに気付く。
よしっ!急いで駅に戻るぞー!
まだうっすら汗をかいている二人を急かし、駅へと戻った。

ほどなく列車が到着。
我々は、終点欅平駅に向かうべく、再びトロッコ列車に。
今度はゆったりと座ることが出来た。
さらに20分ほどトロッコに揺られ、終点欅平駅に到着。


欅平駅から、国指定特別名勝・特別天然記念物に指定されている「猿飛峡」まで頑張って歩く。
子供の足で20分くらいか。
「猿飛峡」は、黒部川の一番狭くなっていところで、猿が対岸まで飛んで渡ったと言われていることから、この名前が付いたとか。
終点?の見学ポイントでは、目の前で90度に曲がっていて、結構な勢いで流れていた。
この流れを泳いで渡るくらいなら、そりゃ猿だって飛んで渡るわ…。
説得力あるロケーションだった。


再び歩いて駅に戻り、トロッコ列車に乗って帰路へ。
帰りは寒そうなので、壁のある特別車両へ。
さすがにこの時間になると客もまばらで、ゆったりと座ることができた。
来た道を戻り、終点「宇奈月」に着いた頃には、辺りは真っ暗になっていた。
「ご乗車ありがとうございました」
駅員さんがにこやかに迎えてくれる。
「どうでしたか?」
「すごい良かったです!小さくてカワイイし!」
そこですかさず『鉄』らしく、タイチョーが尋ねる。
「これ、軌道幅はどのくらいあるんですか?」
…そんなこときいてどうするだ。
でも駅員さんは親切に答えてくれた。
「新幹線の半分くらいですねぇ」
「762mmあります」
隣を歩いていた別の駅員さんも答えてくれる。
「そうなんですか〜へぇぇ」
納得した様子のタイチョー。
お礼を言って別れる。
車庫?に並ぶトロッコ列車は、普通の電車となんら変わりなく見えるのだが、人物と比較すると、小さいのが良くわかる。
本当に小さくてカワイイのだ。


駅を出て、歩きながらよっすぃー隊員に尋ねる。
「どう?『外が見える岩のお風呂』、良かった?」
「うん、良かったけど…」
けど何?
「もっと普通ので良かった…」
念願の温泉に入れて大満足かと思ったのだが、よっすぃー隊員には、ちょっと野趣溢れ過ぎたようだった…。
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