■■Report #33 Report index



――――夏の終わり


先日のエアショーから約10日。
カレンダーを一枚めくった9月1日、へなちょこ1号は、岡山県笠岡干拓地内の「笠岡ふれあい空港」に向かっていた。
助手席にはへなちょこ3号(バギーだ)、後席にはよっすぃー&カズ隊員、そしてカメラ。
それだけでいっぱいの我が愛車だ。
今日は雲が多く天気が微妙ではあったが、一日中家にいてもつまらないので、ミキ隊員ことワタクシ、よっすぃー隊員、カズ隊員の3人でドライブに出かけることにした。
タイチョーは仕事だ。

8月20日のエアショーから帰って、
『まだ3輪しか咲いてなくてな、8月下旬になるって』
と、タイチョーが言っていたのを思い出し、本当に咲いているか確認しに行く事に。
大空と大地のひまわりカーニバル
…というくらいだから、ひまわりもそれなりに咲いているに違いない。



干拓地に入ると、「ひまわり畑 →」 という看板が目に入る。
干拓に毎年ヒマワリが植えてあると知ってはいたのだが、行くのは初めてだ。
最近ではヒマワリの見れる名所としてタウン情報誌などにも載っているという。

途中、ゆみたんの家に寄ったので、空港へたどり着いたのは15時を回っていた。



ヒマワリ畑は空港入り口にあった。
すでに満開を迎えているようだ。
中には首を垂れ、終わりかけているものもある。

隣の空き地が駐車場として開放してあり、そこへ車を停める。
テントが張ってあり、イスが数個並んでいる。
どうやら休憩所のようだ。
仮説トイレまである。
なんて親切なんだ…。
車から降ろすと、よっすぃー隊員の「虫〜」が始まる。

夏の終わりのヒマワリを、是非カメラに収めたい。
そう思い、やってきたのだが。
「何もしないから大丈夫よ〜」
と、なだめ、カメラを出す。

「…しまった…」
三脚を忘れた(涙)

とりあえず手持ちで頑張るが、服の裾を引っ張ってくるので、手ブレがどうの、という問題じゃない。
「虫がぁ、虫サンがぁ〜」
相変わらずの虫嫌いよっすぃー隊員の声が、ヒマワリ畑に響いている。
「そりゃ虫くらい居るさー」
カズ隊員は大人しくご機嫌でエノコログサ、通称「猫じゃらし」をかじっていた。
ん?かじって…?
「カズ、カズ!食べるのはダメよ!!」
慌てて取り上げる。
どいつもこいつも…。
「ね、虫が…」

写真も何も撮れたもんじゃない…。

3号があるのでさすがに畑の中にも入れず、のんびり歩きながら数枚撮る。
が、トイレに連れていったり、喉が渇いたというのでジュースを買いに行ったりしている間に、17時を回る。
「そうだ!」
ケイタイを取り出し、タイチョーにメール。
『笠岡干拓に潜伏中。任務(仕事)終わり次第合流せよ』
すると程なく返事が返ってくる。
『了解。現在地送レ』


そして虫と格闘しながら散歩しつつ、待つこと30分。
仕事を終えたタイチョーと合流。
「…フードは???」
うん、それも忘れたんよ(笑)

交替でカメラを構える。
タイチョーがカメラを構えている間、歩きながら周囲を観察してみる。
これが結構面白い。


隣でよっすぃー隊員は、棒を拾ったり、小石を拾ったり、エノコログサを摘んで遊んでいる。
エノコログサは数を増して行き、片手いっぱい握られている。

それどうするんだ、って、持って帰るんだろうなぁ。



ヒマワリ畑に人は絶えることなく、次々と車がやってくる。
少し歩いては、写真を撮り、帰っていく。
歩き始めたばかりの小さな子供や、大きな犬を連れた夫婦、ケイタイで写真を撮っている女の子は、友達と来ていた。
すごいミニスカートにピンヒールで畑に入っていくオネーチャンも。
それ刺さらないですか。

花の横に顔を持って来るお決まりのポーズに、ヒマワリの匂いを嗅いでいる者(匂いするの?)、頭を垂れたヒマワリと同じポーズ、花を抱きしめるようなポーズ…。
ヒマワリとの2ショットにも色々なバリエーションがあるようだ。

18時、太陽が傾き、空がオレンジ色に染まっていく頃、トンボが飛び始める。
「♪トンボの眼鏡はキ〜ラキラひかってぇ〜☆」
よっすぃー隊員の即興トンボの歌。
そんな歌ありませんから。
歩いていると足元からぴょんとバッタが飛び出してくる。
捕まえて見せると、笑うカズ隊員に飛びのくよっすぃー隊員。
何かわからないが、数種類の虫の声が聞こえる。
合唱しているみたいだ。
そしてどこからともなく風が吹き始める。

トンボの群舞に、虫の声、肌を掠める風の涼しさ。
秋の気配だ。
そしてそれは夏の終わりでもある。

昼間の暑さが去り、涼しくなっていくと、過ごしやすいのだが何か物悲しい感じがする。
ちょうど今日の様な日だ。
夏が終わる。
子供の頃から、夏が終わるのが嫌だった。
それは単に夏休みが終わるからではなく、鮮やかな夏の色彩が褪せていくのを、寂しく感じた。
これが少し経つと、紅葉やら、月見やら、別の楽しい行事に思いを馳せ、梨やら栗やら秋の味覚に満足するのだが。
気付くと駐車場には車が一台もいなくなっていた。
19時が近づこうとしているのだ、当然か。
暗くなるのも心なしか早くなった気がする。

夏の終わりの寂しさは、ちょうどこの沈んでいく夕日を見ている時に感じる寂しさと似ている。
ああ、今日が終わってしまう。
でも完全に沈むと、月や星の光を楽しむのだ。

なんだろう、この感じ。

「雨!!!」
タイチョーの声。
夕立だ。


走って車に戻る。
カメラが濡れていない事を確認し、よっすぃー隊員とカズ隊員を車へ。(カメラより後かよ)

ザーッっとフロントガラスを雨が叩く。
ドリンクホルダーにエノコログサを挿し、帽子を脱ぐよっすぃー隊員。
畑の端から走ってきたので、少し息があがっている。
「帰ろうか」
よっすぃー隊員がハンカチで拭きながら、笑顔でくしゃと顔を崩して一言。

「楽しかったねぇ」


「あ」
―――そうか、楽しかったからか。


今日が楽しかったから、今日が終わるのが寂しいのだ。
でも、今日が楽しかったからこそ、穏やかな気持ちで星や月を眺められるんだ。



夏が楽しかったから。



ヒマワリに沈む太陽が重なる。

終わりを告げるソレイユに見送られ、へなちょこ1号と、4号は走り出した。
Page top  
Report index