■■Report #26 Report index


―――ほ、ほ、ほたる来い…
日本古来から観賞され続けてきた初夏の風物詩、ホタル。
近年、環境の変化により激減、絶滅の危機に晒されている。
今やあっちの水も、こっちの水も苦くなってしまったようだ。


6月13日。
「ホタル見にいこか〜」
突然の提案に、急いで準備する。
へなちょこ1号に乗り込み、向かうは岡山県真庭市、北房。
ほたるの里である。
思いついたのが18時30分、ご飯を食べて、準備して…
出発したのは19時30分だった。
すぐに高速にのり、岡山方面へ。
岡山自動車道を通って約30分、北房ICで下りるとでかでかと看板が。
右折し、看板に沿って走っていると、川沿いに歩く人の影。
どうやらここで間違いないようだ。
目を凝らして見ると、走行中の車窓からでも、ホタルの光が確認できる。
北房ほたる公園に到着したのは、20時30分をとっくに過ぎた頃だった。

川沿いに灯篭が並ぶ

真庭市、北房町。
環境省の「ふるさといきものの里百選」に選ばれたホタルの里である。
北房を流れる備中川とその支流周辺には、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類が生息しているそうだ。
近くにほたる公園という小さな公園があり、その周辺でホタルの乱舞が観賞できる場所として有名なのだとか。

ここの売店が閉まったら、本当に真っ暗になった    真っ暗な駐車場に車を停めると、ホタルが頭を掠めて飛んできた。
「あ、ホテル〜」
大喜びのよっすぃー隊員。
「ホテルじゃなくて、ホタル!」
何度直してもホテルを連呼するのであった。

ほたる公園には小さいながらも資料館が併設されており、ホタルの生態や発生状況などを写真やジオラマなどで学ぶことができるようになっていた。
その前では観光客用にうどんや団子などが販売されていた。
明かりはそこだけで、辺りは本当に真っ暗である。
しかも川に光が漏れないよう、川沿いの道に、そこだけ黒い幕が張られていた。
他に明かりといえば、観光客の車のヘッドライトだけだ。

川沿いには木で出来た灯篭が並び、足元を僅かに照らしていた。
近くまで行くと、チカチカ、といわゆる『蛍光色』の小さな光が瞬いているのが見える。

「うわぁ〜」
思わず声に出るよっすぃー隊員。
こういうものを見て、素直にきれいだと感じられる人間であって欲しい…。

「うわぁ〜、ホテルー!!!」
…がくぅ…。


ホタルは毎年5月下旬から6月頃になると川岸で光を放ちながら飛び交う昆虫だ。
しかし環境の変化に敏感で、年々減り続けていると聞く。

全国各地でホタルを保護しようという活動が行われてはいるが、環境の変化には追いつけないようだ。

環境の変化…。

農薬の散布であったり、宅地からの汚水の流入、河川の護岸整備…。
豪雨などによる川の増水で幼虫が流されてしまうのだって、保水機能を失った山林にしたのは人間で、
エサのカワニナも生息できない環境にしてしまったのだ。
最悪なケースとして、ホタルの生息地をホタルが見られる川として観光化した途端、絶滅させてしまった所もあるそうだ。
いわゆる光害というやつで、車のライトや懐中電灯、フラッシュ撮影がホタルの活動を妨げてしまった
事が原因なのだとか。
捕獲して帰ったり、ゴミを捨てて川を汚して帰ったり、人間の手で殺してしまった。

そういった話を聞いた事があったので、人工光を遮る黒い幕が張られていたのには感心した。
近隣の民家も外灯を消し、観光客向けにも『フラッシュ撮影をしないで』『車のライトを消して』など注意を喚起しており、北房町の人々が、ホタルを観光資源としつつも、ちゃんと生育できる環境を守っていることを感じた。

川沿いを歩いていると、ホタルを見に来たらしい一台の車が道路脇にとまる。
辺りが真っ暗なので、ヘッドランプがかなり目立つ。
眩しいな〜と言わんばかりの歩行者の非難の視線集中。

ちゃんと駐車場に停めて、歩いて見なよ。

さすがに気付いたのか、スモールにしてハザードランプ点灯。
オイオイ、ホタルにハザードランプは禁物なのよ。
さらに冷たい視線。
追い抜く人が、振り返ってまで向けている非難の視線。
ついに全消灯。

…いや、真っ暗な道路の真ん中にライト消して車停めたら普通に危ないですから!!!


アンタみたいなマナーを知らないヤツがねぇ…!!!
と、いっても仕方ないのだけど。
せっかくホタルを見に来たのなら、来年も見たい、来年も見れるようにしよう…って考えてよ。
ちなみに、ホタルを撮影してみようと試みたのだが、真っ暗でカメラの状態が確認できない上に、平日にもかかわらず思わぬ人の多さで、三脚を出して長々撮影するスペースが無かったので、ただの『点』写真しか撮れなかった。
しかもシャッター開放中に何故か必ず車が通るんだよね(涙)

真っ暗な空間にもやがて目が慣れ、川へ目をやると、草むらとせせらぎの境目が分かるようになってくる。
目を凝らすと、草むらの中にもいるのがわかる。
川を離れ、頭上を飛んでいくもの、ガードレールにとまるもの、民家の屋根で休むもの…。
その動きは様々だ。
時折シンクロしたように、同時に光を放つ。
こうやって会話をしているのかな。

「でももっとすごいのかと思っとったよ」
ぽつりとタイチョーの呟き。

すっごい昔に来たことのあった私は、んん〜?と考える。
そういえばもっと多かった気がするなぁ。
やはり環境の変化、なのか。

『ホタルの乱舞のピークは八時半頃、暗く風のない暖かい日が良い…』
「…今何時?」

気付くと22時が来ようとしていた。
しかも月齢 16.9、満月の翌日である。
そのせいだったらいいけどな。
ベストな時間帯なんてちゃんと調べる暇が無かった…。
そうよね、22時なんて遅すぎるよね…。


せっかくなのでホタル観賞について少し…
■ホタルを見るには
生暖かく、曇っていて風の無い日がベスト。
雨や風の強い日、月明かりの明るい日はあまり飛ばないのだそう。
時間は19時30分くらいから徐々に飛び始め、8時台がピーク、9時を過ぎると減ってくる
■ホタル観賞マナー
ホタルは光でお互いのコミュニケーションをとっているので、停車中はヘッドランプ、ハザードランプなどは絶対に切る。
付近を走行中は、車のライトはロービームで!
車は決められた場所に停める。
懐中電灯の光はもってのほかだが、携帯電話の光もかなり目立つな…と思った。
近隣の民家に迷惑なので大声で騒がない。肩を寄せ合っているカップルのムードもぶち壊しだ。
フラッシュ撮影をしても、ゴキブリみたいなの…もとい、ホタルが写るだけなので、フラッシュ撮影をしない。
ホタルが撹乱し、活動を妨げてしまうのだそうだ。
もちろんゴミを捨てない、ホタルを捕らない、踏んだらいけないので草むらに入らない!









突然ホタルが手の上に…
ホタルの点滅って求愛行動?
ダメよ、私には夫も子供も…(笑)

よく街で見かけるイルミネーションを確かにキレイだと思うが、自然が生み出すこの光には適わないなと思う。
派手さも無く、はかなげな光だが、どこか生命力を感じさせる光だ。

平日にもかかわらず、観光客と、行きかう車の列は絶えない。
ホタルを愛でようとする人が多いのにはびっくりした。
それだけ日本人がこの美しい光景が好きで、愛されているということなのだろう。
せっかくだからホタルを通じて、環境の保護やマナーにも関心を持ち、自然の尊さに気付いて欲しいなと、この光に感動した一人の私は思うのである。


へなちょこ隊、ホタル観賞を通じて自然の尊さに思いを馳せたひと時だった。

来年もこの町にホタルの乱舞が見れますように。
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