近場は穴場?
5月15日、ゴールデンウィークも終わり、初夏を感じさせる天気の中、タイチョー、よっすぃー隊員と、私の3名を乗せたへなちょこ1号はノロノロと坂を上っていく。
このへなちょこ1号、最近では街乗り中心で、せっかく新調したセミオフ用タイヤも恥ずかしい位なので、ちょっと近所のスーパー以外にも連れて行かんとね…という事で、本日は1号で出かけることに。
しかしあまりの暑さにエアコンをONにすると、全くヤル気のない走りになってしまう。
そろそろコイツもかえどきなのだろうか…いやいや、めざせ10万キロなのだ。
「頑張れ〜」と軽くハンドルを叩いて励まし、アクセルを踏み込むのだった。
着いたところは広島県福山市、グリーンラインの展望台だ。
グリーンライン―――眼下に瀬戸内海を見下ろす山岳道路。
初日の出や夜景のスポットで知られ、福山の花火も見れるし、幽霊も見れるという心霊スポットや、巨大遊具や鹿などの動物がいるファミリーパークがあり、展望台に登れば遠く四国の島影が見通せる(運がよければ)という、福山市の観光道路だ。
とはいっても、我々から言わせると特に珍しくもなく、ごく普通の展望台がある山道なのだが。
あまりにも近く&何もなさすぎて、しばらく行ってなかったので、ドライブがてら立ち寄る事にしたのだ。
「おお〜、めっちゃキレイになっとるー」
第一展望台の駐車場は整備され、水洗トイレも完備のキレイな駐車場になっていた。
バリアフリーの遊歩道なんてものも出来ていた。
ただ、展望台だけは、子供の頃見たそのままで、コンクリートの塊のままだった。
エンジンを切り、いざ展望台へ。
駐車場からは、一面芝生が敷かれた緩やかな斜面が広がり、階段へと続く。
よっすぃー隊員は、嬉しそうにその斜面を駆け上がって行く。
…が、ちょっと傾斜がきついのか、だんだんペースが落ち、フラフラとした足取りに変わっていった。
階段を上る頃には無言に。
まだまだ修行が足りんのう…。
展望台には日曜日だけあって、2組の先客がおり景色を眺めていた。
今日は天気もよく、うっすらと霞んだ海に浮かぶ瀬戸内の島々を見渡すことが出来たのだが、写真を撮るのをすっかり忘れていた。
まぁ近所だしいつでも見れるという感覚が、後に『探険記録に使おう!』とも思わせなかったというか、いつも見ている人間としてはわざわざカメラにおさめようと思わなかったというか…。
まぁ、要するに『詰めが甘い』という結論に至るのだが、そんな所がへなちょこで、なんとも良いではないか。
しかも読者に「どんな所なんだろう〜気になる〜」と想像を膨らませる機会を与え、さらに「行ってみようかな〜」なんて気にさせれば、福山市の観光協会からも感謝されるかも知れない。
なのであえて写真は載せない事にしよう!!!
興味のわいた方は是非その目で確かめに行ってみよう♪
階段を上り少し汗ばんだ体が、遮る物が何もない展望台に吹く強い風ですっかり冷めた頃、あまりの退屈に帰路に向かう。
まぁ、展望台なんてそんなものだ。
展望台の周辺にはサクラが植えられ、花の終わった樹には固いサクランボがなっていた。
芝生には毛虫が這い、タンポポも黄色い花から綿毛へと変わっている。
どこからか、懐かしい豆笛の音がする。
そういえば子供の頃くわえて走り回ってたっけ。
足元に生えていた、カラスノエンドウのよく膨らんだ鞘をとって、口に含んでみる。
うろ覚えで作った笛は、プーっと音を出すことなく、ただ鼻に懐かしい青臭さを残しただけだった。

「こういうの、懐かしいなぁ…」
豆笛の話から、子供の頃の話に発展。
ここへ遠足で来た時の話、一人で山道を上がって探険に来た時の話(後で親にすごく怒られたことも)…。
駐車場に向けて歩きながら懐かしい話で盛り上がった。
獣道をひたすら上がって、やっとたどり着いた展望台の事。
友達数名と勝手に探険していて、バスの時間に間に合わなくて怒られた事。
ソメイヨシノのサクランボって熟したら食べれるんでしょ?
いや、昔食べたけど美味しくはなかったよ。
色が綺麗だからってカブレノキを片手に持って歩いていた事とか。
彦山の頂上に上がったことがあるよ、とか。
色んな所に登山ルートがあるよ、とか…。
そんな話から、
「今度途中で見た林道、走ってみるか!」
「第二展望台、探しに行ってみよう」
「今度はちゃんと展望台からの写真、撮ろうよ(笑)」
と、次の探険の計画の話が出てきた。
何もないから、いつでも行けるから、近いから…と避けてきたそこは、思わぬ新鮮な場所だった。
近場に穴場あり、か。
へなちょこ隊が、もっと「へなちょこ」だった頃の探険場所は、新しい発見をもたらしてくれた。
もしかしたら、まだまだ近くにそんな場所があるのかもしれない。
原点にかえる事の大切さを学んだ気がした。
なにも遠くへ行く事だけが、知らない所へ行く事だけが、探険ではないのだと。
「最近探険に連れて行ってやってないね」と思っていたへなちょこ1号が、私たちを探険に連れて来てくれた感じだ。
駐車場で待っていたへなちょこ1号をイイ子、イイ子…となでなでしてやる。
しかしその思い出話が、20年も前の話だという事に気付き、自身の年齢を目の前に叩きつけられ、複雑な心境でへなちょこ1号に乗り込むタイチョーと私なのだった…。