秋の三瓶山にススキの群生を探す
10月24日、よく晴れた空にイワシ雲をみつけ秋を感じながら、車を運転しているのは隊長。
そのとなりでキョロキョロしている者…が私である。
「あの景色が見たい!」
マップに載っていた一枚の写真。
以前紅葉スポットの番外編として、ススキの群生が見られると載っていた。
残念ながらその記事も今は手元になく、「三瓶山」とだけ記憶にあるのみだ。
私は行ったことがなく、ナベ隊長は『行った事はあるが、夏だったのでススキは…』ということなので、二人とも秋の三瓶は初めてである。
この季節山のほうを走っていると、道沿いにススキの穂がひらいて風に揺れている、なんて景色はよく見る。
しかし数はわずかで、あってもガードレールに沿って…程度のものだ。
あの写真のススキは、山をバックにあたり一面がススキ野原になっていた。たくさんの穂が風になびいて波のような模様ができていた。
それが夕日にあたって金色に輝いている…ようにみえたのだ。
よく観光地などで有名な景色を写真でみて現地にいくと、その規模の小ささやまわりの建物などにがっかりしたという話を耳にする。
例外に漏れず私達も経験した。古い建物や街並み保存地区、観光地化された滝や湖などがそうだ。
すぐ隣には近代的なビルが建っていたり、拝観料○○円などと書かれた建物があったり、水面にびっしりと貸しボートが浮かんでいたりするのだ。
もちろんそうでないところも日本にはまだたくさんあるが、一度は経験した事があるはずだ。
そう考えたとき、『カメラマン』というのはすごいものだと感心する。すぐ隣の建物を入れずに、且つこの景色がどこまでも続いているだろうと見る者に思わせる…『がっかり』させる技を持っている。
逆に、ものすごく感動した景色などを、素人の私が写真に残そうとしたところで、その感動ごと写真に残すのは難しい。しかし『カメラマン』の写真というものは、例え自分がそこにいなかったとしても、自分もそれを見て経験したかのような錯覚を与え、感動させてくれる。
そういう意味で、すごい!と尊敬できるひとだ。
話がそれたが、そんな訳で『実はこのマップの写真も、もしかしたら…』と、疑ってしまうのだ。
それで今回、カメラマンの腕か否か、調査してみる事にした。
「あれが三瓶山」
鳥取県大田市の三瓶山付近に到着。
問題のポイントをさがす。とりあえず、山のまわりを一周することに。
進みだした車の窓から、2階建ての大きな建物がみえた。
「あ!待って、あれ何、何?行ってみようよ?」
『鳥取県立 三瓶自然館』 とある。
入館は無料、映画やプラネタリウムの見れるビジュアルドームのみ有料(高校生以上400円、小中学生200円)で、三瓶の森の生き物や植物などが紹介してあり、野外観察コーナーや斐伊川河口の水鳥のようすなどをジオラマで再現してあったりして、なかなか面白い。
2階からは隣にある『フィールドセンター』 に続く通路があって歩いていける。
『フィールドセンター』には今、埋没林についての展示があるらしい。
「埋没林?」
なにも調べずに来たので、初めて耳にする言葉だったが、どうやらここには『三瓶小豆原埋没林』という有名な埋没林があるらしい。
残念ながら『三瓶自然館』の近くにあるという埋没林は、現在工事中のため行く事ができなかったが、『フィールドセンター』に発見された木の一部などが展示されていた。とても3500年前の木とは思えないくらい、木の匂いがのこっていてびっくりした。
来年春には、『三瓶自然館』新館に保存も兼ねて、掘り起こされた三本の杉が展示されることになるそうだ。
「ちょっと来るのが早かったな?」
残念、といいつつ、『フィールドセンター』の外に出る。
現在午後3時、そろそろ動かないと日が暮れるよとナベ隊長。じゃあ、せっかくだから外に出て、副隊長にお土産のドングリでも拾ってから移動しよう…
そう深呼吸しながら建物の外へ出たときだった…。
「!!!!!」
まさにあの景色!
山をバックにして、あたり一面がススキ野原。
夕陽には少し早いが、傾きかけた太陽にキラキラ反射している。
カメラマンの腕なんかじゃない、本物のススキ野原…!
「ここだったんだぁ…」
偶然寄ったこの建物が、目的地だったとは!!!
キレイ!すごい!感動!
「まあ、北の原って有名だしなぁ」
とナベ隊長。
「多分北の原か西の原か、その辺しかこういう所ないから…」
…先ほどの感動を覆すナベ隊長の発言。
なんだ、知ってたのか。偶然の発見かと感動したのに。ちょっとがっかりしながら車に乗り込む。
「じゃあ、ススキ見たし、せっかくだからぐるっと一周して、帰りますか」
「了解?」
そして走る事20分、再び同じ景色が…!!!
「あれ????」
「やっぱ、こっちがあの写真と同じ所なんじゃないの?」
確かに、山との距離といい、広さといい、確かにそうかも。
じゃあさっき感動した私って…。
「なんだかなぁ?」
何度も感動した自分がバカみたいだ。
家について、デジカメをつないだPCを前にため息。
まあ、実際きれいだったし、楽しかったからいいや。
でもがっかりしたことがもう一つ。
せっかく行った写真の地。
やっぱり素人の腕では、一面のススキ野原が表現できなかった…涙。
お留守番副隊長へのお土産のドングリも見つからなかったし。
今回はどこまでも「へなちょこ」な私達だった。
『三瓶小豆原埋没林』
●埋没林とは…
林が、生えていたその場所で火山の噴火や、洪水の土砂で地中に埋もれ、長い時間朽ちずに残ったもの。
●三瓶小豆原埋没林
島根県大田市三瓶町、三瓶山北西の丘陵地帯にある。
発掘調査された範囲は約7000?、小豆原川沿いの15万?の範囲に広がっているといわれる。
三瓶山は、かつて噴火を繰り返した火山で、小豆原埋没林を作ったのは、三瓶火山の噴出物といわれる。
三瓶山が今の形となった、3500年前の噴火の時、山麓を流れ下った噴出物が埋没林をつくったとされている。